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オーケストラ!

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深刻な歴史背景と、ドタバタコメディーと、感動話と、音楽やっている人にはつっこみどころ満載で、全般として前評判どおり楽しめた佳作。ちょっと実話入り。ブレジネフ政権下のソヴィエト、殆どの読者さんが生存している時代の話。ユダヤ人排斥で、彼らをかばった指揮者や演奏家がクビになったのは本当の話なんだそーだ。(日記アプする前にその時代の本よんどこうとおもって何一つよんでなかっただよ。)ユダヤ人演奏家はシベリア送り。主人公の指揮者もユダヤ人友人をかばったということで、当時のオケメンバー共々クビになり、彼はボリショイ劇場の掃除人となっていた。ふとしたことから、普通成り立たないと思うような替え玉作戦で、ボリショイ交響楽団(Оркестр Большого театраをそのまま使ったかちょっと変えたかは不明)の名前で自分達面子でパリまで行って演奏しちゃおうという。で、嘗ての仲間を集めて、30年ぶりに演奏会を開くためにパリに行く・・。果たしてその音楽会は成功するのか?というのが非常にざっくりした筋。
指揮者がこだわるチャイコのバイオリンコンチェルトとソリストとの関係が絡まる大きなストーリーの謎。あまりに有名なチャイコンにこだわる理由って何よ。「コンサートにするなら3曲ですよ」といわれて、「チャイコン以外はどうでもいい。そうだな、セレナーデとプロコフィエフとでも書いてくれ」セレナーデとは誰のセレナーデだろうか?そして余りにぞんざいに扱われたプロコの存在って一体。まあこだわりの理由は中盤から明らかにされていく。ソリストとの関係も。まあその筋はとりあえずそれ程でもないけれど、謎が音楽を通じて解き明かされる最後の10数分のシーンは感動的なものがある。演奏も良いと思う。チャイコンは感動シーンには本当に相応しい盛り上がる曲だ。後は笑い転げていたがそのシーンだけは涙が出たのは、してやられたか。
ドタバタ喜劇で笑えるのは「現代フランス人の創造したソ連時代の風景」だ。まあアメリカ人が書いたアジアとさほど相違は無いかもしれない。広場の演説と、その観客(サクラ)集めの仕事をしている肝っ玉ロシア妻、あの奇妙奇天烈な結婚式と、よくわからんロシアンマフィアの銃撃戦、全然来ないバス、飛行機の中で酒呑んでのどんちゃんさわぎ、KGB事務員の席にあった小さいレーニンから大きいレーニンまでの胸像。また、練習時間に来ないのを「ロシア人だから」と、フランス人にいわれたか無い気もする。日本人としては。
原題はコンチェルト。つまりチャイコンが主役だけれど、オーケストラ!とつけた邦題がヒットの成功の一つだろう。内容の正確性よりも、印象が問題だ。のだめ観た人が結構来たのだろうな。いくらプロだって30年弾かずに、いきなりリハなしに楽器もってこうも合うもんか、とか、その後に演奏したであろうプロコはどうだったのか?とか、勿論ソリストのバイオリン発表会的な直立不動演奏とか、メンバー集めのときに、(韓国ドラマのベートーヴェンウイルスでもそうだけど)管なんて直ぐ集まるんだからもっと弦楽器集めろよ、とか、食堂で曲を皆でバラバラのパートを歌いながら盛り上がるのは古今東西アマでもプロでも同じ楽しみだなーとか、色々つっこんだり共感したり疑問におもったりして、音楽やっていると楽しみ方も多方面だ。(感動面はその分薄れるのは止むを得まい)
演奏していたオケはロシアじゃなくてハンガリー?(だっけ?)のオケだったらしいが、最初めちゃくちゃで途中から名演になるという変化をも通して録音したのは凄い。

主人公の最初の身分とかトイレの密談が、この場末の映画館とシンクロしていた。おんぼろオケだからこんな映画館の方があってるかなー。あと名曲が一杯!というほどは出てこない。何しろこのオケの演奏シーンはチャイコンだけだし。

そうそう、コメント削除された方のために付け足すと、場末からちょっと歩いて(でも全然いった場所を覚えていない)「ヤキトリでも」ということで店に入った。寿司屋の様にカウンターに焼き物のネタが並んでいて、六本木らしくちょっとお洒落でちょっと庶民的で、何より店員がイケメンぞろい(ポイント高い。しかし串焼き屋の格好より黒服が似合いそうな六本木風イケメン)美味しい串焼き屋だったが、記憶している限りでは鶏肉は殆ど出てこなかったようだ。で、「福岡では串焼き全般をヤキトリという」という説明を受けた気がするが、そうなのだろうか?

by violatsubone | 2010-08-14 19:00 | 映画/TV