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眼力と歌唱力は七難隠すということ

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徒歩5分の、トキアビル内にある、木綿クラブ。青ノートと同会社の経営で、弊社にたまに割引優待が来る。まあ大抵人が集まらないコンサートだったりするが、ジャズな音楽と、これらの店の雰囲気が好きで、毎回申し込んでいる。同行者も毎回同じチェロ弾き2名。スタートが21:30というのが良い。20:30に中に入って、つまみなど食べながら歌を聴く。クラシクもこのくらいの時間に始まって、食事と一緒に聴けるなんていう気軽なのがあればいいのにな。
おれんじ嬢はツボネの強さで、同行者が居ないと入れないはずなのに「後から来る」といって無理やりエントランスを抜けていた。しかし、ツボネの愛情?で、自分は指して興味が無いのに、人が大好きだといっていたたい焼きをくれた。同クラブの待ち合わせ部屋でたい焼きを食すのもなんだが、ミニたい焼きなので余り周囲にはわからない。たい焼きの具は、普通にあんこであるべきと思っている私はチョコやチーズが許せない。これはもう1人の欠食おやぢに譲った。
インガーマリエという北欧の歌手だった。クラブの紹介には、30代風の綺麗なおねえちゃんの写真が載っていた。ふうん、綺麗な人だな。
前々回?の青で飲んだジンファンデル、フランシスコッポラディレクターズカットという素敵なネーミングのワインを堪能しつつ綺麗なおねえちゃんがスパンコールのついた太ももまでスリットの入った銀のドレスを着て登場するのを待つ。(ちょっとここのクラブのシンガーのイメージがそんなのだった)。すると、ノルウェーらしい大柄な黒服の男性に紛れて、よれよれのくたびれたジャージのミニワンピ、いやワンピというかシャツがだらしなく伸びきった様なシロモノ、を着た、おばちゃんが出てきた。
「近所に葱買いに行くんじゃないんだから・・」
「思うんだけど宣伝写真にも期限つけるべきだわ。アレは10年以上前だよね」
「黒だけど、何回も洗濯機で洗ったくたびれた黒だよね」
「H&Mにだって売ってないわ」
体の線に沿っていなく、胸からボトンと下がったよれよれのジャージミニ。上半身の体型は謎だがウエストはほぼ無いに等しい体型と見た。外人だけあって脚だけは細い。この生活臭満点のおばさんがマリエちゃんだって。歌いだす前に我々は席で言いたい放題愚痴っていた。
歌いだした。ちょっとかすれた様な、低音の気だるさ。あんにゅいが大人の色気というわけでもないが、客を緊張させることも興奮させることもない、非常に落ち着いた声。ジャズの女性シンガーは、結構こういう気だるい系が多い気もする。とにかく絶叫しないのがよい。クラシックの歌手より、POPSの歌手より、体への浸透圧が良いつうか、すっと入ってくる気がする。
ううむ、歌声は不思議なものだ。そして、体型が崩れ、よれよれの格好をして、髪がボサボサのおばさんは、眼だけが写真の女性と同じ、アーモンド形でキラキラ光っていた。歌いだしてから気がついた。
「何故だろう、マリエチャンが可愛くみえるなあ」
「眼の中に星があるわ」
さっきまで散々いっていた我々、オリジナル曲、カヴァー曲等数曲聴いているうちにすっかりマリエ・マジックにハマってしまった。何がマジックかって、おばちゃんがいつの間にか綺麗でラメ入りのドレスを着たゴージャス美人に変わっている風に見せるマジック。漫画の様だ。。

満足した我々は、23時過ぎからベルギー麦酒の店に行く。私はすっかり酔っ払っていたので結局麦酒は飲めなかったんだけどね。

by violatsubone | 2009-07-02 21:30 | 音楽鑑賞