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父親よ お前もか

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実家の父親から小さな小包が届いた。何だろうとあけると薄い本。
嫌な予感がして、著者をみると、案の定父の名が印刷されている。
しかもご丁寧に本の裏にサインまでしてある。¥600円ですか。

父は勿論作家ではない。たんなるサラリーマンだ。
ああ、ブルータス、お前もか。
母親に聞いたら、勿論自費出版で、かなり安く仕上げたらしいが写真は某カメラマンが協力してくれたらしい。体裁だけは綺麗だ。出版社は父の仕事に関連する出版社だ。あーあ。

男性はロマンチストという女性には無い種族の為か、なにやら自分の生きた証とやらを残したがるらしい。本好きの上司は「私の人生に何の創作物も残せないことに、焦燥があった。」と以前ぼやいていた。物書きとは無縁の同僚も「俺もいつか自分の一生を本にしてみたい」といって私を固まらせた。会社がOB向けに開催した「自分史の書き方」講習会にはびっくりするほど爺さんが集まっていた。後ろ通って私は「いやだねー、書くのはいいけど読まされる人の身になってよね」といったら同僚Hは先ほどのセリフを吐いたわけだ。最悪は弊社のかなり上の役職の人が出版して、半強制的に割り当てがきたことだ。気の毒なのが取引先。ノルマ制で買わされたりしていた。それで数量稼いだくせに「好評につき、続編を」といわれたときはあきれてものがいえなかった。

父は私の業界でいうところの、船屋さん。海運業界ってやつですか。その会社の子会社、客船会社の雇われ社長に4年くらいなっていた。基本陸上勤務なのに、殆ど船にいてあちこち旅行、、もとい出張していた。客船のサーヴィスは夫婦ペアなので母親の分も会社が金を出す。彼らが行っていない国ってどこだろうと思うくらいあちこち旅行したようだ。でも旅行記かなと思うとそうでもなく、駐在員時代のエピソードちょっとと客船の話、お客様の話など。
まあ私の親だからして、下手だ。読みやすいというのが精一杯の褒め言葉。対して中身もない。
エッセイ風に洒落たつもりらしいが、哀しいかな洒落ていない。感想をおくってやらんといかんので15分で読んで、その唯一の褒め言葉をおくってやったら喜んでいた。母はあきれている。
ま、私らがブログ書くと同じような事で、内容に大差はない。出版費用が若干かかるのと、一方的に本を送りつけられることがおこるくらいか。

客船のお客様は一般的に金持ちの年寄りがロイヤルユーザー(職業では時間が自由な自営業や、医者が多い)なのだが、彼らもまた本を書くわ書くわ。実家にわけわからん本が山と送られてきて、「迷惑ねー」と思っていたのであった。父は感想を書くためにせっせと読んでいたが、読みながらいつか俺だってと思っていたのかしら。。

ま、内容は兎も角、一応形を残した事で、満足はしたのだと思う。私と母はあきれていたが、まあ彼らのやる事はわからないことが多いので、仕方ない。

by violatsubone | 2008-08-04 23:32 |