Noh初体験、局と般若

c0102375_0432686.jpg
ゆんさま@Fおけ&つぼかるバイオリンは、能がお好きで、日頃から良く観られるようだ。業界のお友達もおつくりになり、勿論自分でチケットを予約したりせず、彼女に「いい席とっといてー」でどうもすませているらしい。局たるもの、コネと情報力を駆使し、最小の労力で最大のリターンを得なければならない。流石はThe TSUBONE of TUBONESである。
さて、能?No-?脳?なんて観た事もないつぼかる連中に、これは是非、とゆんさんがチケットを取った(取らせた)ものは
「葵上」
「この題材は、お局の皆さんにぴったりだとおもってね」
うう確かに。ぴったりすぎて怖いのですが。

というわけでつぼかるそろって「葵上」鑑賞。

りえびさんはひょっとしたら初めてでは無いかもしれないが、私はお初。どこかのエッセイに(負け犬だったかな?)30過ぎると女は日本文化にハマり始めると書かれていたが、当方は相変わらず西洋かぶれだったので、歌舞伎も能も狂言も初めて。誘われなければ一生見ないで終わったかもしれない。きっかけは大切だ。
ゆんさんが我々を誘ってくれたのは、初めての人も対象にという企画で、開始されて直ぐに能の説明が行われる。常連さんにとってはいらない時間だろうが、新しい顧客開拓には必要なことだと思う。面や衣装の「決まり事」がトレビアな私であった。この企画はプログラムが3つあった。前プロ(笑)は 「源氏物語組曲」 組曲ときました。能楽の歌で源氏は存外少ないそうだが、そのなかから4つを組合せ、囃子の演奏。楽器は笛・小鼓・大鼓・太鼓(最後の2つの区別がつきにくいが、おおつづみ、たいこ、と読みは全く違う)。でも曲の途切れがわからんかった。

休憩後、舞台が真っ暗になり、ろうそくに灯がともる。今宵は「蝋燭能」なんですと。ちょっと幻想的な感じ。
中プロは狂言。お笑い寸劇みたいなもんで、言葉もわかりやすく、お気楽に楽しめる。演目は「狐塚」でした。演じる人達皆若くて、中々にきりりとしておりまする。

さてメインの「葵上」。葵上ってのは源氏の最初の奥さんですね。ワタクシ皆さんが誰の翻訳だか存じませんが一通り読んでいる頃、「けっ、女のケツ追い掛け回す野郎の話なんざ何が面白い。天下を目指してこそ男だ」と読んでなかったんですね。漫画すら(笑)。高校時代は大層古典が得意であったので、平家物語なぞは古文のまま読んだりしたんですけどね。やっぱ読まないとまずいよなあと思って読んだのは社会人になってから。で、はまったかと言うとそうでもなく、いろんな女がかけて優れた文学だと思った程度。やっぱり長じてから読むので冷めているのかね。でも印象強いのが「彼女」であることには変わりなく、多くの女性はそうなのではないかと思う。葵上じゃないよ。
そうそう、で、葵上、は能で誰が演じているかというと、着物。源氏も出てこない。
病に臥せっているところを着物で表現されているだけ。なのでシテ(主役)は誰かと言うと、「彼女」六条御息所なんですねー。この話は六条御息所が嫉妬の余り生霊となって葵上にとりついたというところのみを切り取ったもの。最後には祈祷師が追い払うってのが、原作とちがうけど。

筋は展開が殆ど無いようなもんですが、最初普通の(ちょっと病んだしるしとして能面が泥眼ー白目が金色ーである)女性として出てくる御息所の生霊が、祈祷師が登場すると般若の面に変わるところが見所?。瞬時に変わるわけじゃないのが残念だけど、般若は迫力ありますなあ。蝋燭で下から照らされるので余計怖いです。

プライドの高い年上の愛人、「車争い」で正妻の車に押しのけられてプライドずたずたにされて、更に愛が冷めていたはずの葵上が懐妊したというので、狂気に陥らんまでも嫉妬するんだが、高貴なお育ちの為感情を上手く表現できないんでしょうな。そのうち生霊となってにくい女性をとり殺すと。うふふ、お局様って大体が、「甘えベタ」多いし、年齢なりの経験はあろうから、まあ結構彼女には感情移入しやすいんだよな。
c0102375_4201555.jpg
謡は古語で、しかも声張り上げるのでイマイチ聴き取りにくいが、良く聴いていると何となく判る。御息所般若と祈祷師の一騎打ちみたいなところが山で、静かになったなと思うと、どうやら退治されたらしくて般若はずりずりさっていく(ずりずり歩くところが特徴さね)、で、最初出てきた巫女さんが、(おれんじさんは最後まで彼女が葵上だと思っていたそうな)、後半で番無いよなあとおもったらやにわ立ち上がる。何かするのかとおもったら退場だ。あとは登場人物がずりずり退場するんだが、はて、拍手のタイミングに困るものがあるな。いつするもんなんだろうね。

能のメインの観客はどういう人達?とゆんさんのお友達Mさんに聞くと、「お弟子さん」だという。だって女性ばかりだよ?能は男性しか舞台にのれないのでは?と聞いたら、習い事として女性が圧倒的に多く、家元から看板もらう人までいるという。オケと同じで年に2回発表会みたいなものもあるそうだ。現代にいたるまで男性のものでしかない日本の伝統芸能。結局支えているのは、余暇を趣味で過ごす女性達なんですなあ。

滅多に無い機会なので中々得がたい体験でした。もっと勉強してからブログも書こうと思ったがその間もなく(-_-)。最初なので「入り込む」までのよさは判らなかったが、それなりに面白そうなものですね。また観てみたいもんだ。(と、ゆんさまにいってみる)
[PR]

by violatsubone | 2008-07-25 19:00 | 芸術鑑賞