パヒューム  (漸く書きました)

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*写真は公式HP、DL用画像。

実は4月5日に見たのでした。本日は深夜残業故ネタもなく、いんちきしました。(^_^.)

22時スタート六本木ヒルズコース。最近のお気に入りです。品川も21時頃からあるのですが会社の場所から離れるというのがミソ。非日常感が大切ですからね。

「臭い」の映画。鼻が異様に利く男の話。

私は原作から入った口。読んだのは2003年だった。読み終わった本は大抵ブックオフ行きなのでまだ手元にあるというのは気に入っていたのだろう。1985年にドイツで大ベストセラーになった本書。へえこんな「ブンガク」がベストセラーになるんだ、ドイツって文化国だなあと変な事に感心した。日米とは格調が違うと。読後感は、寧ろ悪い。感情移入なんぞ出来ない。それが逆に印象深い。史学科の私としては18世紀が舞台の物語って垂涎ものですし。池内紀の訳がまたいいのだわ。
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以下はネタばれ含まれます。ご注意。

2時間半という時間が長く感じない、よく出来た映画だと思う。原作の持つ雰囲気を壊さず、映像もとても美しく。女性の死体とか。死体がね、本当に綺麗なのよ。18世紀パリの雰囲気とか(撮影はバルセロナらしいが)、果物をむいている映像はフェルメールの様。そう、全てのシーンが額縁に入れると絵として飾れるくらいだ。映像化されるとは思わなかった群集による集団絡みのシーン。700人以上が全裸で絡み合うんですが、このシーンもロマン派の絵みたいなんですね。R指定にしない程には映倫も分かっている。話運びもテンポ良く、適度などきどき感もある。商人の娘が狙われるシーンは、何度もここで実は殺される?と思うぎりぎりのシーンがあり、少しヒチコック風かもしれん。原作読んでしまっているからこのあたりのスリルは100%享受できたわけではないのが残念。そしてとぼけた口調のナレーションにより、少々の笑いの粉をふりかけて。ダスティン・ホフマンが道化師の様な化粧で楽しんで演技してるのが、笑いの要素かも。

話題の一つ、香りを音で演出。BPOがいいのか、音質がいいのか、曲がいいのかはわからないが、いい香りは香り初めから徐々に音が大きくなり、ソプラノが入ったりして、香りが強くなったり広がったり、遠ざかったりする様子がわかる。そして主人公が理想とする香りがある音楽で表されるので、今、その香りがしたのだ、ということがわかるようになっている。成程。通り過ぎたり、強く香ったり。香りを表現というか、香りの移動、強弱が良く分かったな。
しかしサル系ドラキュラ顔のサイモン君が指揮者になってから、映画露出が増えたねBPO。
「ベルリンフィルと子供達」もサイモンだし、なんとかブルー(シャチがアシカを食べるシーンがあたしはトラウマだ)も彼の時代。活動範囲を広げることはよろしいことで。

映像が暗くならないのは原作では目立たない醜い男だが、映画ではきりりとハンサム。これでしょうやはり。まあ、普通こういうタイプは人と眼を合わせなく、いつも下を向いたりするのだが、こいつは人の眼をきっと見る。ちょっと違うけど、主人公には華がないとね。悪魔は天使より美しくあるべきで、ヒールキャラは美形が鉄則さ。処刑台の上での挨拶の優美さよ!。手足が長いとああいう宮廷風挨拶が決まるんだ。関係ないが「ハンニバル・ライジング」も彼がやったらかっこよかったかも。。

と、ほぼ大満足な私であったが、実は原作と映画の決定的な違いに対しては、少し不満。ほんの数分の回想シーンの挿入で、本と映画は全く違うものになった。映画の主人公は憎しみが原動力だった。でも映画は・・。映画の方がカタルシスが得られ、観客はちょっとぐっときながら、主人公に味方する。あの時少女が死ななければ?普通に恋愛ができて?。と、思わず思ってしまう。

でも、私は、本当に個人的な感想だけど、切なくなる分、主人公の人間像がとても普通なものに思えて、がっかりした。もっと悪でいてほしかったんだな。憎しみと絶望を抱えたまま最後のシーンを迎えて欲しかったんだな。究極の香りを欲した理由がそんな「あたりまえの事」であってほしくなかったんだな。

あの数分の回想シーン。それだけで全てひっくり返すんだから、それが狙いだとしたらたいしたものだ。そしてそのシーンがあるからこそ、日本では多くの映画館で上映されたのかもしれない。主人公を演じたベン・ウィンショーがカッコイイというのもあるけどね。

娘を溺愛する父親を演じたアラン・リックマン。大好きなおぢさま俳優です。
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by violatsubone | 2007-04-12 22:00 | 映画/TV