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英国王はベト7とともに話す

英国王のスピーチを近所の目黒シネマで漸くみた。いつもガラガラのシネマがほぼ満席だった。こんなにここに人がいるのは初めてだ。
地味な話だった。30代の監督がこういう題材を選ぶんだ。。というのが意外。何が起こるわけでもないのだが、名優の名演を心地よく楽しむ、というところか。英国風のジョークとか。
真面目で硬くてがちがちな国王役のコリンファースは勿論、コスチューム・プレイの英国夫人をやらせると、「眺めのいい部屋」の昔から変わらずとばっちり決まる不思議なヘレナ・ボナム・カーターの余裕綽々の演技。普通の紳士演じさせると余計演技の上手さが光るジェフリーラッシュの三つ巴。みな余裕ある、リラックスしながら演じているようで気持ちがいい。そうして英国といえば老人!チャーチル役のティモシー・スポールや大司教のデレク・ジャコビ、ジョージ5世のマイケル・ガンボンと往年の名優がこれまたいい味をだしている。
ヒトラーの演説の映像をみて「あいつは演説上手いなあ」とぼけっと感心する王様。可愛い。
英国製の仕立てよいスーツをこれほどかっこよく着こなせる人はいないなあ。立ち姿だけで王様だ。

これがアカデミーを取ったのは、アンドリュー王子の結婚を控えた王室の宣伝?と思うほど、まあストーリー的にどうってことはない。非常に品の良い、それでいて「過去のトラウマを克服しようと頑張る姿」という、何となく誰にでも共感を得るような題材、名優たちの肩のこらない程度の控えめな名演、で 感動はしないだろうけど、押し付けがましさのない、しみじみとして良い話だったなと思う。クライマックス、国王が話す場面、(ただ話す、だけなのがクライマックスなのだ!この何も起こらなさが逆にすごいのかも?)延々とベト7の2楽章が流れている。これだけが実はちょっと感動の強要的な部分泣きにしもあらずかも。でも良い曲だから良しとするか。

単館映画でひっそりとやっているのを偶然観たら、良い映画観たよ、って得した気分になるかもしれないが、オスカー受賞作?と派手に宣伝されると、これがどうしてだろう?って考えちゃうのでした。

by violatsubone | 2011-08-07 15:00 | 映画/TV