都響 イケメン作曲家という存在

イケメン作曲家、と言われて思い出すのは若い頃のブラムスとか、サラサラ神のリストとかなんだろうが、現存している作曲家でも、いた。それが本日の一番の感想だ。(すみません)

都響の1月定期。邦人作曲家や現代作曲家の知られざる作品シリーズ。最近よみ響の所為で知られざる作品ばかり聴いている気もするが、これはこれでびっくり箱的に面白い。半分位は寝てる時もあるが、まあそれも良し。私的には充分マニアックな本日のメニュ。
松平頼則「ダンス・サクレとダンスフィナル」よりダンス・サクレ
廣瀬量平「尺八と管弦楽の為の協奏曲」
三木稔「管弦楽の為の『春秋の譜』」
ドナルド・ウォマック 「After-尺八と二十絃筝の為の協奏曲」
一曲目は、セッティングを途中でほっぽりだしたように中心に何も置かれていなかった。弦は無い。木管とトランペットあとはよう判らん幾つかの打楽器。西洋音楽の楽器で和のテイストを表現。西洋料理の材料で和食つくりましたー的な音楽だった。ピッコロが横笛の様な鋭くしかし枯れた音を出していたのにはびっくりした。名前見て判るように、松平家の一族なもんだから宮内庁で雅楽に触れていたと言うまあ東儀さんみたいな生い立ちなかただな。

2曲目の「尺八~」では着物を粋に着た、チャクハチスト(ツボネ造語)が颯爽と登場した。日本男子(特におじさん)はやはり和装が決まる。オケの洋装がコスプレに見える程に、その姿は圧倒的に似合っていた。オケと尺八というケーキの中に梅干的な取り合わせも、梅干のインパクトが強く、無理やりにもフィットした感じだ。しかし尺八の音色は甘さが排除され、枯れていて鋭くて、それでいて郷愁を誘う、なんともいえない素敵な音だ。控えめなオケとの取り合わせも悪くない。時に、尺八の音色っつうと私はどーしても、ルパン三世の五右衛門登場シーンを思い出してしまうのだが。「また、余計なものを斬ってしまった。。」(声:井上真樹夫)くー渋っ。腐ツボネ話題でした。

三木稔の曲は阿波踊りのリズムを引用、と書いてある通り、躍動的で楽しい曲だった。大河ドラマの曲にでもなりそうだ。また色々な打楽器大集合でどんちゃか騒ぎの様で、纏まっていて。S響とか上級のアマオケだったら(金かかりそうだが)出来そうな曲だ。弦楽器も弾くより叩く場面が多く、おまつりのよう。聴くほうにも緊張を強いない、楽しい曲だった。

休憩を挟んだ4曲目は、米国作曲家が、えひめ丸と米国原子力潜水艦の衝突事故を題材にとって作曲したものだと言う。戦争とか原爆が題材はありそうだが、えひめ丸の事件を、しかも米国の人が日本人犠牲者の追悼として作ったなんて、そういう人もいるんだな米国人!とびっくりした。衝撃的な事件が次から次に起こる昨今、えひめ丸と聴いても最初ピントこなかったくらいだ。事件というものは当事者でないと、いつの間にか次の事件に上書きされ、記憶と印象が薄れていくもんだ。しかしそれを題材にした作品があれば、いつまでも風化せずに記憶にとどめておくことが出来る。衝突を思わせる、ティンパニや大太鼓を力いっぱいたたいた衝撃的な音。それが9つ。9人の犠牲者の音だそうな。オケは不協和音が恐怖を煽る様になり、尺八と琴が犠牲者の哀しみをしっとりと奏でる。アメリカ人が尺八と琴を、その音の利点を上手く生かすような形で使っており、いやうまく料理したものだと感心した。同行者は「つうさんが朝出社する時の音楽は、エンパイアマーチ(ダースベイダーのテーマ)からこれに切り替えたらどうかしら」と提案した。いや別に、ダースベイダーの音とともにシューシューいいながらあわられるわけではない。しかしこの音とともに現れたら、皆机の下に隠れるだろう。
その作曲者、ドナルド氏が劇場に来ていた。日本の作曲家ってのは大体が仙人みたいで浮世離れした雰囲気だが、ドナルド氏は背が高く、鼻が高く、ほっそりして、お洒落でダンディだった。HPの写真では全然かっこよくないが、だいぶ痩せた様だ。ちょっとベンゲル監督を若く優しくした感じだ。ナイスなおじ様!と想ったが、同い年疑惑。
帰りにホール前のおーばっかなーる(ひらがなで書くと馬鹿みたいだ)なるビストロで飲んでいたらそこにもいた。ファンが日本語で話しかけているのをうんうん聴いていたが判っているのかどうかはわからない。でも笑顔が素敵な方だった。

こういう邦楽シリーズだと客の入りがいまいちなのは残念。まあ我々も定期じゃないと中々買って聴こうとは想わないからなあ。そういう点で、定期会員というのは面白い発見がある。ええ、何の曲をやるのか直前までわからなくたってOKなんだしね。
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by violatsubone | 2010-01-26 19:00 | おけすとら