わるきゅうれ@目黒ツネマ

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ロードショー落ちした映画を2,3週間放映するプチシネマ。行こう行こうと思い、中々時間と観たい企画とが合致せず、漸くたずねる。常に2本立てで、中々この2本のバランスが面白い企画だと、駅のポスターみておもっていた。たまたま観てみようかなと思いつつ終わった映画が、空いている時間にやっていた。これは3月くらいにロードショーになった映画である。多分日本ではそれ程受けなかったであろうと思う。流石に観る人は観ただろうからネタばれ有。

実在の話がベースになった映画。とはいえ、最近映画情報を取らない私としては、最近アメコミ監督づいているブライアン・シンガーと、あのトム・クルーズ主演なのだからひょっとして結末にどんでん返しあり?まさかあの結末じゃあハリウッドは許さないのでは?等と思っていた。実在の話は、私はそれ程詳しくは無いがまあ知っている程度。第二次大戦下のドイツ軍人によるヒトラー暗殺クーデターの話である。家の本棚に中公文庫「ヒトラー暗殺計画」は黄ばみつつも存在していた。歴史モノはどうも捨てないみたいだ。

で、この映画はハリウッド風エンディングになっていたか。ネタばれ言えば、淡々と史実通りすすんでいった。
トムが実は生き延びて、妻子と涙の再会をするところでエンドというわけにはいかなかった。

案外、いやかなり、史実に忠実な展開で、それを上手くスペクタクルに仕上げているとは思う。世界のトム様演じるのは、クラウス・フォン・シュタウフェンベルグ大佐。ベルばらで習ったが、フォンが付くので貴族である。まあ察するにぼんぼんというものは得てして理想主義なわけで、クーデターの実行者兼責任者を買って出る。彼以前にも暗殺計画は色々あったらしいが、まあどれもがツメが甘い。この映画にもというか史実にもつっこみどころ満載の計画なのだ。加えてゲシュタボも真面目に仕事してるのかなあと思うくらい管理が甘い(笑)戦時下だったし、ユダヤ人つかまえることに夢中になっていてそこまで回らなかったのか。スターリン政権下と比較して、盗聴もそれ程されていないようだし、反乱軍バッジなんて作って平気で大人数で会合できているし、こんなゆるいのに何故暗殺成功しなかったのかと首を傾げてしまう。結局はクーデター側も足並み揃わずだったんだろうな。

結果はわかっていても手に汗握る様には作られている。成功して欲しいと思ったりする。しかし事実は事実として、終わる。ある意味文字でしか読んでいなかった計画をスリリングな映像で見れたのは良かった。しかし、この内容だったらドイツ人がドイツ人俳優を使って、「ヒトラー最後の12日間」の様に作ればよかったのでは?トム出てこなくてもいいじゃん。シュタウフェンベルグの思い込みの激しそうな濃い顔立ちはトムに確かにそっくりではあったのだが。
映画にはちょい役だが、SSの制服が異様に似合う将校がいた。反乱軍でもなく、知らずに軍隊を動かされていた隊長役。ちょい役の割りにスイミングシーンで筋肉隆々の上半身を披露し、細かい仕草とセリフと表情がいちいちクールだ。この人は誰なんだろうと調べたら、トーマス・クレッチマンという俳優で、戦場のピアニストでもナチ将校の役だった。ドイツ人だからというわけではないが、むちゃくちゃサマになる。東ドイツの水泳オリンピック選手だったということであの美しい泳ぎはサービス・ショットだったということがわかった。東ドイツから歩いて壁を抜けて亡命したという波乱な人生の俳優だ。さらに調べたら実は最初はドイツ人俳優でこの映画を作るつもりで、彼がシュタウフェンベルグの役だった。それが大物監督が出てきて、大物俳優が名乗りをあげ、随分大掛かりな映画になってしまったらしい。彼は主役になるはずだったのか。私の俳優眼は曇っていないな。
地味な内容なのに、随分派手に作られてしまったものだ、というところなんだろう。まあ、脇役にはイギリス人の名優がずらりであったので、それなりに魅せる作りにはなっている。テレンス・スタンプの眼力は相変わらず凄い。文庫の再読と、関連書物をアマゾンで衝動買いして、ちょっと2,3日のマイブームになった。
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by violatsubone | 2009-08-16 23:36 | 映画/TV