カンブルランの舞

黄泉響づいている。私はコマメにコンサートチェックする方ではないので、定期か、人に誘われない限り自分では調べて買っていったりしない。たまたまオケ仲間にそこの関係者がいて、最近は控えめにチラシなぞ配って営業しているので、「これ行くー」と一言言えば用意してくれるわけだ。ぴあなんぞ面倒で行っていられない。まあ、余り知人に甘えるのも如何なものかと思うので、そろそろ年貢は納めよう。

本日、黄泉響の次回指揮者 かんぶるらん 氏のお披露目的な演奏会。この人目当てという人もいるようだが私はさっぱり知らなかった。おフランスな方なわけね。ポスターで見る写真は、ラッティーノ!風なのー天気な感じだった。

さて、当日、不愉快な事に17:30から客先で商談が入った。何でこんな時間から。呑みの席があったら行かないからね、と思ったけどそういうわけでもなく、研究職で理系な方々とうんざりする内容だった。対応は全て同行の理系っぽい出向者に任せてあたしは時間ばかり気にしていた。場所はおDAIBA。終了時間は18:45。多分事務所に戻る同行者2名に、「私はここからタクシーにて直帰します。」といい捨て、眼を丸くしている彼らを尻目に手を挙げる。外に出る前に、一応料金と時間を調べておいて、これならいいやと思ったのだった。「サントリーホールまで。高速でも何でもいかなる手段を使って最速の方法で」。我ながら、バブリーだ。後でおれんじさんに「クリスマスの歌手の様だ」といわれた。ディナーショー梯子ってことか。夜景が美しいルートばかりを通り、こんな時間の高速だから空いている。19時少しすぎについた。1曲目ははなから諦めていたので、ダッシュで2曲目ギリギリセーフ。

ベートーヴェンの4番と5番というオーソドックスなプログラム。フランス人なのに。4番は次々回のFオケでやるということで、他にもつぼねが来ていた。003さんも勿論来ていたらしいが全然見かけなかった。
カンブルラン、颯爽としていた。案外背が高くほっそりしている方で、特に足が長くて細くてまっすぐだった。しかし指揮はきっぱりはっきりしており、割とタイトで、そして軽快だった。カラリと湿気の無い、地中海気候のベートーヴェンだった。しかしこういう細かくて軽快な曲はFオケ苦手そうだなあー。
休憩挟んだ5番は、これも中々素敵だった。表情豊かで、ダイナミクスレンジが物凄くあり、特にPが揃っていてしかも響きはあり、そこからのクレッシェンドが華やかだ。やはり重みの少ない、さっぱり感のある現代的なベートーヴェンで、聴き親しんだはずの「運命」がとても新鮮に思えた。オケもS爺様のピリッとしたシビアな感じとはまた異なり、華がある演奏だった。華といっても都響のあでやかな華ではなくて、下の写真のムスカリみたいな感じ。それにしてもカンブルラン、指揮振りも颯爽としている。ポスターの写真の様な大仰なイメージではない。余り音楽と関係ないかもしれないが、手より足を見てしまった。足裁きが非常に優雅なのだ。時々ぱきっと軍隊の様に両足あわせたり、手はタイトに振っているのに、足は踊っているように優雅だ。この人に18世紀とか19世紀のフランス貴族の衣装を着せて舞踏会で躍らせたい。白髪を結んでいるところがまた、その時代にあっているというのもあるのだが、絶対にダンスが上手いと思う。観客への挨拶も、羽根突き帽子を持たせたいくらいに流麗な動きだった。ヴェルサイユ宮殿かと思わせるものがあった。全ての人ではないがフランス人には何かこういう優雅な雰囲気がある。随分前のフィギュアスケート選手、フィリップ・キャンデロロをちょっと想わせた。

隣の老夫婦、大会社の会長風の旦那様と、その派手な奥方様。扇子をフリフリしつつ「やっぱりフランス人はかっこいいわねえ、あなたー」とご満悦だった。「中々面白いベートーヴェンだ」仕立の良いスーツを来た(年取ると差がとても良くわかるのだ)旦那様は如何にもつぼね的な奥様の感想を軽く無視していた。

反対側2席は空席、その隣のおやぢは、逆に品が無かった。003さんでは無いが、足をおちつかなげにガサガサ動かしているのが気になった。馬券売り場と間違えたんじゃないのか、という感じの方だった。座る姿勢も悪いし。別にハイソな方だけが来るものじゃないので、赤鉛筆のおっちゃんがクラシックファンだって全く構わない。単に私が小汚い人に対して不寛容なのだ。老人になるとあまり顔は見ないが、たたずまいに全てが出るなあと思う。

そういえば、定期の最初の回だったようだ。メンバーの写真が載っていた。残念ながら、黄泉響はカイネイケメンだった。何となく、メタボ率が高い気がする。オペラグラスは必要無さそうだ。(おい・・)
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by violatsubone | 2009-04-13 19:05 | おけすとら